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私の誕生日(投稿:シンさん)

私の誕生日

これまでの誕生日は、私を祝う記念日であった。
 
しかし今年からは、私を生み育てて頂いた両親への感謝の記念日にしようと心に決め、
6月12日をむかえた。
感謝の想いをどのように表現するかも決めていた。それは、両親の足を洗わせて頂くだ。
 

母の足は、昨年の会社での新入社員研修の一環で経験している。
しかし父の足は始めての体験だ。

昨年の母親の足を洗う際には、行動するまで一ヶ月ほどかかった。
それは、照れもあったし、過去のいろんな親子関係の経緯もあり、
私の心の中に抵抗感があったからである。

そんなわけで昨年は、感謝の想いからの行動ではなく、
社員研修として洗わせて頂いたのだ。
研修の一環だというのに、母は大変喜んでくれた。
洗い終わった後、私の足も洗ってあげるよ、と言われたが
照れた私はやんわりと断ったのを思い出す。

後日父から、これまで私をさんざん否定していた母が
あの日を境に全く変わってしまった、
と不思議がりながら話してくれたのを今でも憶えている。


12日の夕方、実家に行った。
居間で両親と雑談をした後に、今日は私の誕生日、
過去には散々いろんな事があったが、今はお陰さまで大変幸せです。
これもお腹を痛めながらも生み、そして育ててくれたお母さんとお父さんのお陰です。
これから私の誕生日は、両親への感謝の記念日にしたいと思っている。
感謝の気持ちです、二人の足を洗わせて下さいと切り出した。

両親は今日が私の誕生日であった事を忘れていたのだろう。
キョトンとしていたが、母は微笑み、父は照れながらもうなずいてくれた。

私は、先ずは陣痛の中で生んでくれたお母さんからだと言い、
一緒に風呂場へ向かった。
父はやっぱり俺はいいよと言いながら立ち上がって庭に出ようとしていた感じであった。

母に風呂場のふちに座って頂き、片足ずつ丁寧に指の一本一本まで、
泡のたったスポンジで両足を洗わせていただいた。
小さな足、柔らかな足、こんなにも小さな足にもかかわらず、
仕事をしながらも四人も育ててくれた母。

母に、本当に私を生んでくれて有難う、育ててくれて有難う、
と言葉をかけながら洗わせていただいた。
母は照れているのだろう、私に話しかけながら洗われていた。
母が心から喜んでくれているのがわかった。
最後に、乾いたタオルで両足を拭き、母への感謝の行動を終えた。

そして次は父である。
父を呼びに行くと、居間のソファーに座っていた。
お父さん洗わせて下さいと言うと、父は観念したのかのそっと立ち上がり、
一緒に風呂場に来てくれた。
母も何故か一緒だ。父は裾を捲くり靴下を脱ぎ、風呂場のふちに座った。
母は父の後ろで微笑みながら立っている。

私はスポンジを石鹸で泡立て、片足ずつ父の足を洗いはじめた。
父は、昔は赤ちゃんのころはよくお前を風呂にいれ身体を洗ってあげたものだ、
と語ってくれた。
父の足は思っていたほど大きくなく、そして少しムクんでいた。
私は父に、育ててくれて有難う、とても幸せだし感謝しているよ、
と想いを伝え足を洗わせていただいた。
父は照れていたのだろう、ずっと喋っていた。
私は思ったほど、照れや抵抗感なく父の足を洗い終えたことが不思議でならなかった。
心から感謝の気持ちでいっぱいであったのだ。
足を洗わせて頂く前は、多少は葛藤するだろうなと思っていたのだが。

3年前の今頃の事を思い出した。
私は父が創業した会社で共に仕事をしていたのだ。
さんざん親子関係で争い続けており、当時は最悪の状態であったのだ。
結果として3ヶ月後の秋に、学校を卒業してからの18年間働いてきた会社を
退職する事となった。

私はもう二度と両親とは会うまい。親子の縁を切ろうと心に誓ったものだった。
そして会社関係のお世話になった皆さんとの連絡を完全に絶ち、
車で1時間ほどのところに引越し、まったくの異業種の世界で働き始めた。
当然、妻と共働きである。人生の再スタートのつもりだった。

体験とは大変有難いものである。
過去の全ての経験が、私の成長の肥しとなった。
今は引退した父の会社を引き継いでいる。
今だから良く解るのだが、全ては私の未熟で至らぬ事が原因であったのだ。

両親の足を洗い終え、居間にいる父に帰るよと声をかけ父の顔を見た時、
父の目には涙が光っていたような気がした。
母は、車が見えなくなるまで私を見送ってくれていた。
 
私の誕生日、
その日は私を陣痛の中で出産し、
そして育ててくれた両親への感謝の記念日である。

感謝

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コメント (4)

タキ:

birthday happy
素敵なブログですね。
はじめましてタキです。

“感謝”をしているから
“感謝”を忘れないために
“感謝”を形にするために

これから関わっていきたいと思いました・・・

ブログを拝見しました。感動です!!
感謝を形にすることが少し苦手な私に勇気を与えてくれました。
いつも感謝を形にしようとすると、気持ちに反して湧き上がる葛藤があります。
一体何なのでしょう?
時に葛藤に呑み込まれてしまう自分が居て、
情けない思いになったりもします・・・

シンさんのご両親がどれだけ嬉しいことかと思います。
私も両親への感謝を同じように形にしていきます。
そんな気持ちになりました。

そして・・・
新鮮な気持ちを胸に6月13日我が子の誕生日(2才男子)を迎えました。

会社から帰るといつものように私の寝床を占領して寝ています。
「仕方ないなぁ」と言っては疲れが癒されます。
そんな我が子にいつも以上に“感謝”をして、抱きかかえ、ママの横へ置いてあげました。

すると子どもへの感謝の気持ちは妻への“感謝”の気持ちになっていました。

妻が母親として居てくれるからこの幸せがあるんだと改めて思い知りました。

次の朝、妻に「ありがとう」と伝えると妻は「どうしたの?」と言いつつも少し嬉しそうにしてくれました。
日頃からの“感謝”を少しだけ形にする事が出来たと感じます。
そして、湧き上がる喜び。『いい仕事するゾ!!』そんな活力 be happy いい日でした。


感謝を形にできる家族を作る・・・
こんな新しいスローガンもできました。

シンさん
ありがとうございます。
これからが楽しみですね!
━ birthday happy ━


ダイ:

シンさんの投稿んだ瞬間、突然私の脳裏にはかつて憎みもした父親の顔が浮かび、風呂場で私に足を洗われながら嗚咽する父の裏返る声と私を育てるために働いた硬い足の裏の感触が私を襲いました。
私はまだ田舎の両親の足を洗ってはいません。この年になり両親に仕送りも出来ない自分を恥じることもあります。  今は、一人暮らしの部屋で時に、辛く、切なくなった時、遠い昔公園でキッャチボールをしてくれた父を思い浮かべながら「おとうさん、おとうさん」と父を想い声に出し、自分がいかに父を心から愛していることを確認し嬉しく思うのです。
今度田舎に帰ったとき、チャレンジしたいと思いました。
ありがとう。

剛:

分かっていてもなかなか出来ない、実行に移せない、事が身近にはたくさんあります。
今回の作品を読み、言葉を交わすこと、肌に触れ合うことのコミュニケーションの大切さ、
きっかけ作りの大切さを改めて認識しました。
人には感情や気持ちがあるからこそ、相互理解、反発が生じますが、逆に感情があるから
こそ、その反対もありえて他人と関わらないケースも多いと思います。
私自身、人とコミュニケーションを取るのに、照れや羞恥心がそれを阻むことが何度も経験があります。
この作品では、誕生日の概念を、逆転の発想で見事両親とコミュニケーションを取れる、言い訳
が利く場に置き換え、きっかけ作りをしている点も素晴らしいと思いました。
ろくに話してもいないのに相手の事を分かっているつもりになっていることが、部下を持つ身である
自分にもたくさんあるようで 自身を振り返る、よい機会になりました。

わら:

読ませていただきました。
大変感動いたしました。
読んでいて、想像するだけで涙が出そうになりました。

誕生日は両親に感謝をする日。
素晴らしい考えだと思います。

2年前の誕生日に、友達からもらった言葉があります。
「誕生日はお母さんがあなたのために一番頑張った日」。
このときがシンさんの仰ることを初めて感じた時でした。
今まで全く考えたことのなかった概念だったので
驚きましたが、このことに気付けて本当に良かったです。

この場で書くのが良いかは分かりませんが、
私はすでに母を亡くしています。
私は現在26歳ですが、17歳のときに母は亡くなりました。
もうすぐ10年もの月日が流れるんですね。

こういうことに気付いたときに、もう何もできないのが
残念で仕方ありませんが、私にできることは
父と姉を大切にすること、そして出会う人を大切に
すること、そして何よりも私自信が精一杯生きて、
母が誇れる人間になることなのです。


私は誕生日が9月4日です。丁度一週間前くらいでした。
毎年誕生日にはパーティを行っています。
感謝気持ちをみんなに伝えるためのパーティです。

来てくれた方が楽しんでもらえるような、
そして、その場で新しい出会いを提供できるような、
更に、仲間が輝ける場になるような、
そんなパーティを行っています。
今年は約60人の仲間が集まり、ダンスをやってる人や、
エンターテイナーとして頑張っている人に披露して
もらい時間を作りました。

仲間に感謝を伝える場なのですが、
仲間からも感謝されてしまうのです。
「すごく楽しい時間ありがとう!」
「新しい出会いがありました!」
「披露する機会をくれてありがとう!」

このとき、きっと母は喜んでくれているのです。
私が多くの仲間に囲まれて、多くの方から感謝を
受けることができるとき、それは私の母が同じ
感謝を感じるときだと思うのです。

感謝される人間になること。
これが母への私の感謝の形なのだと信じています。

そして、父と姉を大切にしていきます。
周りの方への感謝の気持ちを常に持って生きます。
本当にありがとうございます。

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